ポセイドン〜CG職人はいい仕事してるのだが〜

ポセイドン [DVD]

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予告とか見たら面白そう。
昔のポセイドン・アドベンチャーは見た記憶がないが、
パニック映画として名前は知ってたし。上映前は割と期待していた。
のだが、上映時間を見ると、なんと100分切ってますよ。
イヤ〜ンな予感が。
以下、ネタバレだらけ。
 
 
 
 
冒頭のポセイドン号が海上を行くシーンは圧巻。
ノーカットで船の全周をカメラワークで一回りする。
寄ったりロングでとったり、スピードも自由自在。
どうやってとったんだろうと思ったら、俳優以外は全部CGで
制作期間は一年とか。やるなILM
また、船が津波でひっくり返るシーンなんかも金も掛かってるし
よく出来ているんだが、もしあなたが冷めてしまいがちな性格ならば、
この映画の見所はそこまでだ。
 
なんというかスナック感覚のパニック映画なのである。
三流3Dアドベンチャーゲームみたいなストーリーやフラグたてイベント目白押し。
まずキャラクターありきじゃなく、こういうありきたりの展開にするから
こういうキャラクターでねって感じで脚本が書かれているのが見え過ぎ。
 
あとで悲劇性を増すために、ちょっとこいつら恋仲気味にしとくとか、
こんな主要キャラなのにあっさり死ぬのも運命なのだという展開とか。

もちろん、もっとキャラクタに厚みを持たせることなんていくらでも
出来たんだろうけど、なんせ尺をとってないので、こんな感じのキャラだよ。
お察しくだされってことかもしれない。
 
いやもう、脚本に対する突っ込みどころは満載である。
足を鉄柱に挟まれたけど、その後問題なく歩いたり泳いだり出来る人とか、
そんなところから水深がどれくらいあるかもわからないのに
飛び降りちゃったりとか、
いや、そんなネジ回してる時間的余裕はないだろうとか、
そこいら中に死体が転がっていて、何度も死ぬような目に会っているのに
母親が大声で呼んでも聞こえないくらい遠くに行ってしまう子供とか、
ええっ、そこに一隻だけボートが!?とか、
ええっ、ものすごいタイミングだなヘリとか、
なにより一番疑問がわくのはニューイヤーパーティの時期なのに、
海水に漬かっても誰も寒そうじゃない。
 
いやいや、これはどう考えても監督は確信犯でやっているとしか思えない。
というわけで、脳内で監督の主張を文字にしてみる。
 
ポセイドン・アドベンチャーのリメイクか、どうしようかな。
しかし、世界中の人がもうタイタニック見てるからなぁ、
へんなもん作っても比較されたらかなわんし。
でも、タイタニック長すぎ。疲れちゃうよ。
そんな余分なドラマシーンとかいらないからさ、
バーンて波が来て、船がドカーンとなって、主人公たちは苦労の挙句
何人かは仲間のために犠牲となって死ぬけど、
最後には生き残って一時間半でハッピーエンドだよ、めでたいね。
ってな映画の方がみんな見たいんじゃないの? 
よっしゃ、このコンセプトだ。ILMに電話しろ。CGの依頼だ。
どうせならものすっごいシーンを作ってもらっちゃおう。
あとは巨大セットの発注だ。天井と床が入れ替わっちゃうようなすごいやつな。
なに、金がない? じゃ脚本の予算削れ削れ。
重厚なドラマの見たいやつはタイタニック見ろ。イチキュッパで買えっから。
津波の原因? 知るか!!
 
本当だったらしゃれにならない。
ま、お気軽に見るには人死にすぎだけど、判ってて見る分には問題ないかな。