グエムル 漢江の怪物

韓国の怪獣映画。といってもグエムルゴジラほどデカイわけではない。
ジュラシックパークティラノサウルスぐらいか。
しかし、動きはジュラシックパーク2の小さい恐竜ぐらい素早いときています。
 
我々日本人の一部の人々はいわば怪獣映画を見るプロであろう。
古今東西様々な怪獣映画を楽しんできたわけです。
でも、最終的にこーいう展開になる映画は無かったんじゃないかなぁ。
韓国ならではって感じなのでしょう。
以下、ネタバレあり。
 
 
 
アメリカ人博士の漢江への無責任な薬物の投棄によって発生したグエムル
成長に六年かかっているのにその間の目撃情報がコップに入るサイズの時のみってのも
納得はいきませんが、まぁそこらへんは暖かい目で。
気の早い韓国人の特質ゆえか、グエムルは事前になんの痕跡も現さず、
いきなり休日の漢江の橋の下にぶら下がっています。
ここまでで多分20分くらい。
ここら辺、あんまり怪獣映画のセオリーを踏んでませんが、
そこから15分ぐらいグエムルが暴れ回るのですがこれがなかなか凄い。
CGの出来はかなり良いです。
基本的に人を喰うために襲いかかるグエムル
逃げまどう人々を追いかけ、長い尻尾を打ち振るって人をはねとばし
あるいは捕まえ、巨大な口で飲み込んでいきます。
結構、血とか出てグロイです。
去り際に主人公一家の娘を尻尾で掴んで去るグエムル
それというのも、娘の父親が逃げるときに
間違って他人の娘さんの手を引っ張って逃げてしまったため。
娘の死を悼む家族四人。
だが、さらわれた娘から携帯に電話が。
娘は生きている!!
かくて家族は協力して娘を助ける為に奔走する。
 
 
家族VS怪獣という図式にしながら、実は家族が闘っている多くは
韓国に存在するシステムに対してみたいです。
娘が死んで悲しむ姿を容赦なく撮り続けるマスコミ。
娘が生きているという主張を真に受けない警官。
賄賂を受け取れば手配中の家族さえ逃す官僚。
借金返済のために後輩を裏切る先輩。
医療ミスを隠すために主人公に無茶な扱いをするアメリカ軍。
 
 
主人公一家はかなり底辺層の人として描かれています。
漢江堤の売店で小売店を営む祖父。
その店番をいつも寝ながらやりつづける父親(兄)。
行方不明だったが、娘の死を切っかけに帰ってくる弟。
家族の中で唯一まともそうなアーチェリー国体銅メダル取得の姉。
捕らわれた娘も美人という訳でもなく、普通のどこにでもいる
家族の位置づけのようです。
そんな家族の深い絆を描いています。
 
でも、そもそも、この父親が何故か本当に寝過ぎでボケ過ぎ。
普通ならこのボケか怪獣を倒す切り札になるってパターンなのですが、
そんなことにはなりません。
あろう事か、そのボケのせいで祖父も死んでしまいます。
こんな事態が起きて、その後の人生は後悔の中でしか生きていけないような
気もするんですけど、いかがなもの?
 
何故かグエムルの存在自体についての報道はあまりされず、
グエムルが持つウイルスの驚異をマスコミが取り上げるという展開で
パトレイバーの怪獣編の様な事は決して起きない当たりがちょっと不思議。
 
ラストシーンも含めて考えると、ひょっとしたら韓国と在米軍との間に起こったことを
元にして作られたある意味反米映画なのかもしれないなぁ、と思いました。
事情を知らない日本人には腑に落ちないですね。
ま、本当に元ネタがあるかは不明ですけど。