銀色のシーズン〜雪猿達の誰一人責任を取らない〜

以下、ネタバレアリ。見てない人はご注意を.
 
 
冒頭の山頂付近からの滑走シーンは爽快そのもの。
スキーの気持ちよさを思い出させてくれます。
しかし、それも麓まで。
ここからこの映画は見る人を選びます。
  
いわゆる珍走団の方々のお振る舞いを「やんちゃ」の一言でかたずけられる方。
大丈夫、あなたはこの映画を楽しめる。
 
しかし、珍走団の「やんちゃ」に眉をしかめられる方は、
多分、この映画にはのれません。
かくいう私も後者なので、主人公たちと一体感を感じることはなく
遠くからみまもるばかり。
 
実際この雪猿たち、誰も訴えてないけどその振る舞いは犯罪者と同じ。
当たり屋、器物破損、銃刀法違反やら窃盗、挙句に乱闘まで。
ま、ゲレンデにビラを撒くこと自体が一番許せないけどね。
 
で、そういった事を繰り返しているのに、雪猿達はそれらに対する
責任を一切取らない。というか、自分たちが誤ったことを
しているという感覚は、彼らには(二〜三の事柄を除いて)ない。
実際、こんな奴らに共感できなくて本当によかった。
 
では、この映画、見るべきものがないのかというと
やはりスキーのシーンはすばらしい。
エンディングのNGシーンなんかを見ると、
スタントの方々の努力には恐れ入る。
 
そして、もうひとつの見るべきものは、田中麗奈嬢である。
この田中麗奈は「大豆ですから」なんて絶対いわない。
 
いやもう、その演技力と綺麗である事と言ったら、
見とれてるだけでいいから映画が続かないかなと思うぐらい。
 
残念ながら瑛太の演技力じゃ完全に太刀打ちできない。
遭難時のツーショットは瑛太にはかわいそうですらある。
  
ま、田中麗奈が演じるキャラクタは、まるで駄目人間なんですけどね。
そういう意味では、雪猿達と同レベルで、まったく共感は出来ないのだが。
 
あとは張ったはずの伏線が生かされていない。
まだ一発残っているはずの砲塔。
隣の巨大資本の入ったスキー場の話。
全手すり制覇が何故か映画開始そうそうに達成されてしまう。
北海道のスキーチームから抜けてきたという過去を持つ男がなにも見返さない。
瑛太のセリフだけで伏線が解決してしまう)
ライバルとして登場したように見えるのに、大した活躍もせず一本滑って終りの男。
とかね。
 
本当はもっと撮りたかったのだが、暖冬の影響で撮影できなかったのか、
予算不足なのか、
それとも、ただ伏線に見えただけなのか。
今となっては謎ばかりが残る。
 
でもやっぱり映画なんだから、ちゃんと楽しみたいじゃない。
もしも本当に伏線を張ろうとしたのなら、
そういうとこをちゃんとやってくれれば
もっと面白く出来たんじゃないかなぁ
 
このジャンルには「私をスキーに連れてって」という巨大な壁がすでに存在しているからなぁ。
エンターテイメントとして、この映画を超えるのは相当大変そう。
別の方向から頂上を目指すのはいいのだが、
映画としては足元にも及んでいない。