ああ、もったいねーよネクサス

ウルトラマンネクサスが、六月末で終了。
シリーズは一年間つづけるのが通例なので、実質的な打ち切りです。
3ヶ月、話数にして13話短くなった歪みがモロにココの所のお話に
でてきているんだけど、ほぼ変身シーンしか出ない適能者(ウルトラマンになれる人の事ね)とかね。
 
これまでのお話としては、三ヶ月ぐらいごとに区切りがあって、
最初の三ヶ月で、ビーストと呼ばれる怪獣を人知れず掃討する部隊組織(TLT)と、
二人目の適能者・姫矢准の話(番組開始後六ヶ月過ぎに一人目の適能者とは
劇場版ULTRAMANの元自衛隊パイロット真木舜一であることが
イラストレーター(作戦参謀)により語られた)。
次の三ヶ月で、闇のウルトラマンのような存在との対決。
その結果、闇は退いたが、光であるウルトラマンという存在も、
三人目の適能者に譲り受けられる事となった。
で、今八ヶ月目が終ろうとしているのだが、
初めから六ヶ月間。最初の数話と最後の数話を除き、ほとんど面白くなかった。
 
世界観の設定を限りなく現実に近づけようとしたのは分かる。
けれどその結果、一体の怪獣を倒すのに数話かかり、
ウルトラマンは決して都市部で闘わず(怪獣が出現するとウルトラマン
別位相のフィールドを展開し、怪獣もろともそこへ移動する。
異動先は基本的に毎回同じ、荒涼としたセットで、破壊されるような
ミニチュアビル等のセットが出たことはない。
わかりやすく言うと従来の平成ウルトラマンの戦闘シーンに比べて
絵がとてつもなく安い)。
それだけならまだ良かったのかもしれない。
今回のウルトラマンは、従来ほとんど扱わなかった「死」というテーマを
取り入れてしまった。
ウルトラマンに変身する一人目の適能者・姫矢准は
かつて自分が戦場カメラマンだったとき、
自分を助けてくれた少女の死(爆死)に対してトラウマを持つ。
 
闇のウルトラマン・ダークメフィストの適能者・溝呂木眞也は、
斎田リコを殺し、死後自らの操り人形として、
ナイトレイダー隊員・弧門一輝との出会いから演出し、恋仲にさせた。
その後、斎田リコをダークファウスト(闇のウルトラマンに似た存在)にし、
たびたびウルトラマンと闘わせ、
最後に再殺した(弧門の腕の中で死ねたのがせめてもの救い)。
 
ビーストは基本的に人間を捕食の対象としているが、犠牲者は報道管制により
全て別の事故等により死亡したことになっている。
また、事件を実際に目撃した人に対しては、
MIBよろしく事件に関する記憶をMP(メモリーポリス)により削除される。
 
適能者・姫矢准もまたウルトラマンに変身するごとにその生命力を徐々に失い、
ダークメフィストとの闘いで生死不明となる。
 
こうして書き連ねてみるともう設定がきつすぎるのが明白じゃない?
土曜の朝七時からやってる子供達がメインターゲットの筈の番組としては。
 
実の所、制作サイドは主ターゲット層をどこと考えていたんだろうか?
お子様に対してかと問えば、ウルトラマンが活躍しなさ過ぎるし、
ハードな設定好みの大人向けかと問えば、大人がみてもあまりに暗くて楽しめない。
もちろんお子様にとっては、うなされかねない話が続く。
ひょっとして主ターゲット層は制作サイド自身だったんじゃないのかなぁ?
でも、打ち切られてしまうようなサジ加減は全然だめでしょう!
スポンサーの手のひらの上できちんと踊っていれば、
どんなお話でも作っていられたのに、
趣味に走りすぎてそこから落ちてしまうというのはいかがなものか?
スポンサーに逆らえないということは、
ウルトラセブンの色が赤に決められたときから分かり切っている事だったのに。
  
で、やっと本題。なにがもったいないかっていうと、
四月を過ぎてからのウルトラマンネクサスって、面白いんだよね。
三人目の適合者千樹憐は特異な出生と能力をもつ少年。
遊園地でバイトを続ける彼は、適合者になる前から何者かに監視を受けている。
適能後、新たなるウルトラマンの形態ジュネッスブルーに変身して闘う憐。
戦闘終了後、変身解除した憐を見つけ、その正体に気づく弧門。
モリーポリスとして憐の監視を命じられる瑞生。
イラストレーター・吉良沢優がウルトラマンの正体を推測中に、
目前にあらわれる憐の現身。
かつて一緒に学生時代を過ごしたプロメテの子の二人。
管理官とナイトレイダー、MPとの確執。
更にダークメフィストを操っていた存在の出現。
 
なにより、千樹憐(内山眞人さん)の明るさにより、
番組自体のトーンがすっかり変わってしまった。
さらにイラストレーター吉良沢優(田中伸彦さん)は、ちゃんと演技出来るでやんの。
これはねぇー、TV版Zガンダムにおけるブライトさんの
使い方ぐらいもったいなかったんですよ。
なんで今迄もっとこの人を絡まさなかったのか、と。
今、こんなストーリーが出来るなら、なんで最初の六ヶ月部分をもっと短縮して、
今やっているようなのを早めに出せなかったのか? 
そうしたら打ち切りなんて起きなかったろうに。
 
本来なら四月からの三ヶ月で千樹憐のウルトラマンとしての活躍を描き、
七月からの三ヶ月間で、劇場版ULTRAMANとのつながりや、色々の伏線を明かしていく
筈だったろうに、終わり三ヶ月が削られてしまった。
来週は劇場版に出ていた遠山景織子さんがあの役のまま出られるご様子。
人々が何故ザ・ネクストの事を忘れてしまったのか?
そこら辺の秘密が明かされそう。
とりあえずあと一ヶ月、楽しませて頂けることを望みます。、