桜の下の

一匹目の猫は桜の木の下に埋められました。
親切にしてくれていたご近所の方のおはからいでした。
それからゆるゆると、桜の木は一匹目の猫の身体と魂を吸い上げてゆきました。
ご近所の誰もがそんな事があったことを忘れるくらいの時がたって、
桜の木は毎年、大層みごとな花を咲かせるようになりました。
遠くから大勢の人達が見物にくるようになり、
それは人の手により接ぎ木され、桜の木もまた殖えていったのです。
一匹目の猫の魂をほんのちょっぴりだけ受け継ぎながら。
そうして百年あまりが過ぎた今夜