ゲド戦記〜予想以下の品質〜

個人的に、スタジオジブリって、一軍と二軍があって、
一軍は「千と千尋の神隠し」や「ハウルの動く城」を作り、
二軍は「猫の恩返し」とか「ギブリーズ」とかを作っていると考えている。
ちなみに「猫の恩返し」や「ギブリーズ」を劇場で見たときは
そのレベルのアレさ加減にげんなりしたモノだ。
特にギブリーズに至っては劇場でお子様が沢山いたはずなのに誰一人クスリとも笑わず映像は滑りまくり、
オレとしては習作を金とって見せるとは何事か、と憤ったモノだ。
ジブリは株式会社化したせいかもしれないが、毎年定期的な収入が必要なのかもしれない。
すでに全作品はDVD化しているし、毎年作品を公開せざるを得ないのかも知れない。
で、だ。
ゲド戦記が映画化という話を聞いてから、公開されるまでかなり短期間で、
だから品質的にかなりやばいんじゃないかなぁという危惧はしていた。
CMもほとんど動いている画像が出てないし。
 
で、今日見てみたのだが、予想以上に酷い。
始まってすぐ気が付くのだが、背景の情報密度がとても低い。
ジブリ作品の命って、瞬間の画面における情報密度の濃さだと思うのだ。
そこがスッカスカなのだ。
アニメーション自体はまだ見れるのだが、背景と重ねられたそのクォリティーは、
テレビアニメすら下回るんじゃないか。
原作者が生きているか知らないが、「千と千尋の神隠し」や「ハウルの動く城」レベルで
作られると思ったからこそOKを出したのではないか?
それがこのクォリティって。
原作者が裏切られたと感じないといいと思うのは余計なお世話か?
 
ストーリー的にどうかというと、これも驚くほど退屈。
原作を読んだことはないが、これが原作通りなの?
だとしたら物語主体でなく、恐らく感情面をつらつらと書かれているとしか思われない。
三十分過ぎても、なにも起こらない。
一時間過ぎても、ほぼなにもおこらない。
おまけに、主役(?)らしい少年には一つも感情移入できない。
助けられて礼も言わず相手を罵る少女にもなんの感情移入も出来ない。
ゲドも特に活躍しない。ゲド戦記なのに。
後半、少年や少女が急に活躍しだして、まぁ少し見られるようになるのだが、
そこで作画クォリティが一段と落ち始める。
さらに終盤の部分のお話って、もう古さを感じる程度のお話になってしまっている。
もちろん原作が書かれた頃はもっとも新しく素晴らしかったのだろう。
それゆえにそれは、その後に発生する多くの作品からリスペクトされあるいはパクられ、
解体され尽くしてしまったのではないか?
それを今描くのはかなり厳しいなぁ、というのが思うところだ。
 
ゲド戦記の作画中、宮崎アニメで今まで使われた作画的手法が多々使われているが、
なんつーか、出来の悪いコピーばっかりって感じで。
まぁ、ジブリ特有の胸のすくようなシーンってほとんど無かった気がする。
 
作画もストーリーもキャラクタにも乗れない。
この作品では唯一、田中裕子すげぇってぐらいしか残らない。
 
恐らく結構人は入っていると思うが、これも宮崎駿夫監督の過去の遺産のおかげだろう。
まぁ第一回監督作品とか言ってるけど、第二回目があるほうが不思議だ。
この作品を見て楽しめた人って本当に存在するか?