ウルトラマンメビウス第32話「怪獣使いの遺産」

なんというか、ここ数ヶ月の怒濤の展開はものすごく。
毎週々々目が離せない。
後に「奇跡の三ヶ月」と呼ばれてしまったりするかも。
 
リアルタイムでみられない地域の方々には、
これだけネットが盛んになっている状況で、
今、
参加できないなんて、本当にアンラッキーとしか言いようがない。
 
それはさておき、昔のウルトラマンには今回みたいなテイストの作品は多かった。

  • 夕焼け
  • リリカルな音楽
  • 不思議な行為にその理由を尋ねる子供

とかね。

オマージュかな、っと思ったら切り口はそれ以上。
ものすごくスパッと、やられた感じがする。
しかも、この世界情勢や日本の情勢とのシンクロ具合って…。
偶然?
あの宇宙人役の俳優が選ばれたのも偶然?
『抑止力』となる、ウルトラマンという存在という表現も偶然?
 
冒頭、女性のモノローグから始まる。
日が傾きかけ、空を紅く染め始めている。
心象としては晩夏。どことなく昔の風景。
河原を掘り返している少年と、それを不思議そうに見つめる少女。
 
泥まみれで真っ黒な少年と比べて、
白いワンピースを着た少女は、なにものにも染まっていないかのよう。
 
何をしているかを尋ねる少女に、UFOを探していると答える少年。
遠くから少女の母親が呼ぶ。
帰り道、少年に近づくことを諫める母親。
少年は宇宙人だと噂されているから近づいてはいけない。
「怖いわね宇宙人なんて」
「どうして宇宙人は怖いの?」
その少女の問いに答えない母親。
夕日に紅く染まりながら、ただ掘り続ける少年。
  
ウルトラマンの存在する地球に、その(ウルトラマンの)抑止力として
怪獣を円盤に載せ、地球と『友好』を結びにきたというメイツ星人。
ミライとメイツ星人は交渉する。
メイツ星人はつげる。
 
これは、地球とメイツ星人との問題であり、ウルトラマンは介入すべきではないと。
 
更に交渉に入る前に、三十年前に飛来したメイツ星人が地球人に射殺された事件を問題にする。
 
本当に侵略目的ではないというなら、干渉はしないと告げるミライ。
両者が歩み寄ろうとしたときに、状況を把握していないリュウが発砲。
腕を負傷したメイツ星人は、怒りのままに円盤を起動。
30年前の射殺事件の賠償として、GUYSに陸地の割譲を要求する。
勿論、交渉は決裂し、円盤は攻撃を開始する。
 
ウルトラマンを戦力として分析した場合、その威力は絶大である。
その威力は、地球上においては、常に「地球」の正義と平和の為に使われている。
例えウルトラマンが宇宙警備隊に属し、秩序を乱さない者にその威力をふるわないと分かっていても、
「地球」に属さない者が「地球」に対するとき、その威力は、いつ自分たちに
向けられるかもしれない存在でしかない。
何故なら、ウルトラマンにとっては「地球」は特別な星なのだから。
(その理由は数週前に放送されていた)。
 
それ故に、メイツ星人はウルトラマンに抗する威力として「怪獣」を連れてきた。
対等な交渉のテーブルに着くために。
 
このような描写で、ウルトラマンを相対化したことって、今まであったかなぁ!?
不意に胸を突かれたように、驚かされてしまった。
地球への不法侵入についてはわびるが、
戦力を持ち込んだことは詫びないメイツ星人の言い分に反論出来ないのである。