猫のしっぽの

二十世紀に成り立ての頃、日本に最初の自動車が輸入されました。
それから数年後、自動車の数は数十台に増え、
そして一匹目の猫が横浜で轢かれました。
轢かれる直前に、一匹目の猫は毛を逆立て、膨らませたしっぽをアンテナにして
仲間に対してメッセージを飛ばしました。
それは近隣にいた猫たちのしっぽを次々と経由して、
はるか小田原まで届いたと言います。
(中継出来る猫がいなかったので、箱根の山を超えることは出来なかったそうです)
けれど猫が跳ばせる情報量はとても少なく、
伝えられたのはほんの一言に過ぎませんでした。
人間の言葉に置き換えると、それは、
「殖えよ!!」
というものでした。
以来、戦時下の一時期を除き、国内の自動車台数の増加曲線と競うように、
国内の猫密度はあがり、ある時