羊の宇宙

羊の宇宙

羊の宇宙

わずか69ページの、絵本と呼んでもおかしくないつくりの本。
4分の一ぐらいはたむらしげる氏の絵のみのページであり、
恐らくは30分もあれば読み切れてしまう。
しかし、そこに描かれているのは、天山山脈の麓で出会った
著名な物理学者の老人とカザフ族の羊飼いの少年が、
それぞれの言葉で語る宇宙の真理の姿なのだ。
読み終えるとちょっとしたクラクラ感を感じるのは私だけではあるまい。
 
たむらしげる氏のイラストは、草原の緑や羊の白、銀河の漆黒を美しく描き、
夢枕獏氏のつづる言葉は相変わらず骨太であり、
般若心経の「色即是空」と物理学のE=MC2(二乗)は
別々のアプローチをたどりながら、
両者ともに一つのシンプルな真理に行き着くと書いている。
その真理とは・・・。
ご自分の目で確かめてみて下さい。