宇宙戦争〜脳内梅図変換が始まる〜

宇宙戦争 [DVD]

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公開前は話題になってたけど、公開後はパタリと話題にならなくなってしまった感が。
見てみるとよくわかるが、それもやむ無しだね。
以下、ネタばれあり。
 
なんのかんのいっても、これはSF映画の形をかりて、
極限状態の人間の振る舞いを描くために作られている作品。
間違ってもエンターテイメントではない。
(それやっちゃうと「インディペンデンス・デイ」になっちゃうし)
最後の方は画面的に気持ち悪いし。
 
極限状態の人間はいかに身勝手になれるのか、いかに残虐になれるのか、
そしてまたそんな状況でさえ、果敢に敵に立ち向かい、
窮地の他人に手を差し伸べるのもまた人間である、というのがテーマ、かな?
 
離婚した身勝手な父親(トム・クルーズ)は、
元妻が引き取った子供たちを守る為に自らの手を汚し、
世界に無関心な息子は、他人を助けるために手を差し出し、
更に国を守るために宇宙人と戦おうとする。
娘は、娘は・・・頑張って悲鳴を上げてました。
 
最初のうちは、天候異変のSFXシーンとか楽しめるのだ。
未知との遭遇」とかを髣髴とさせるし、SFXの進歩具合とか、
ああ、むかしもこんな怖がらせ方してたとかを思い出す。
 
トム・クルーズの家の後ろに、映画のCMで有名な例の高速道路があるので、
それを見た途端に、
ああ、これ崩れるのだなぁと分かるのがちょっと残念だが、仕方ない。
 
で、かつて地球にメカを埋めていた火星人が、天候異変を引き起こし、
雷とともにそのメカに乗り込んでメカを起動する。
で、そのメカを見たとたんに私の脳裏に浮かんだ言葉は、
 
「バッフクラン」
 
なんですよ。これは重起動メカですよ。
アニメだとよく分からないが、実写で見ると、これほどのでかさとは驚き。
後に語られるが、大阪でこのメカを二体も倒したという。
すげぇな、大阪人。いったいどうやって倒したというのか?
 
起動したメカは、ものすごいビームで地球人を灰にしてゆく。
人間を灰にするが、服は燃えず、しかし建物は破壊出来るという謎ビーム。
イデは、イデは発掘されていないのか?
ええ、発掘されていません。
というわけで悪戯に町は壊滅。
 
子供たちだけを連れて車で逃げるトム・クルーズ
他の宇宙人にきづいていない人々はドン無視ですよ。やむをえないけど。
しかし、アメリカ中の都市が襲われていることが後に分かるのでした。
どこに逃げても・・・。
結局子供たちを元妻の元に送り届けるべく、シカゴを目指す一家。
シカゴが無事だという保証もないままに。
 
道々で多数の屍や、醜い人間の本性、メカとアメリカ軍の戦闘と
いったものに遭遇する親子。
 
そして、恐ろしい事に遭遇するたびに叫ぶ娘。
いや、もうこの娘の叫び声が超リアルすぎでゲンナリする。
スピルバーグトム・クルーズがどんなに頑張って「絵作り」をしても、
この少女の叫び声を聞くだけで、梅図かずおタッチの絵と「ギャー」という文字が
頭のなかに浮かんでくる。
 
しかも、後半になるにしたがってこの少女の見た目も梅図タッチに
変わってくるから不思議だ。
 
トム・クルーズ親子が地下室に隠れている所で、
宇宙人のメカの偵察パーツ(それ自体は蛇のような感じで自在に動き、
先端に光学センサーと音センサーが付いていると思われ、
根元は巨大メカに繋がっている)が地下の様子を探るのだが。
 
あんなテクノロジーがあるんだから、赤外線センサーとか付いていないとオカシイよ。
つまり、わざわざ偵察メカが地下室中をウロウロ動き回って人間を探す必要もなく、
トム・クルーズが見つからないように、
そっとメカをまたいだりしてバレナイわけがない。
偵察メカが動物状のものならともかく、ちゃんとしたメカとして描いているのだから。
 
勿論、映画的演出として、見ている側(お客さん)に緊張感や恐怖感を与えるために、
そうやっているのはわかるのだが、今時その手のセンサーが存在する事ぐらい
子供でも知っている。
そして知っていれば、演出理由のためとはいえ、
ありえないシーンをみせられて不意に冷めてしまうと思うのだが、
いかがだろう? 少なくとも、私はそうだったのだが。
 
ちなみに、地下室で宇宙人の姿が出ますが、ヌーク・ガンレイの顔に、
貧弱なエイリアンの体をつけた感じです。タコっぽくはなかった。
 
最後は原作どおり宇宙人は地球の病原菌にやられて滅ぶのだが、
これも今となってはねぇ。なにか理屈付けとしてもうひとひねり欲しい。
あれだけのテクノロジーがあれば、病原菌対策なんて
しないわけがないとも思えてしまうのだ。
「火星にはH・G・ウェルズがいなかったからねぇ」っていうだけじゃ
納得できないよ。